「…………」 先生が、私たちの距離をなくすように 私たちの前の見えない壁を通り抜けるように 私の手をとって、自分の方に抱き寄せた。 「俺も…好きだ…」 先生の言葉を聞いた瞬間、ひとすじの涙が頬を伝った。 ああ、この時を待ってた。 夏の日に聞けていたら、なにか違った? でもそんなのどうでもいいや。 「ごめんな…本当は俺から言うべきなのに」 「ううん」 いいの。 こうして同じ気持ちだとわかっただけで もう充分幸せだよ。