耳もとでする声。 電工灯の明かりに寄っている虫がバチバチうるさい。 「昔から可奈子は俺の知らないところで傷ついて、俺は何も知らないから、何もできなくて…」 「…………」 「何もさせてくれない可奈子が嫌いだった」 私の肩を優しく持って、ゆっくり私の顔を見る。 目が合って、顔が熱くなった。 「俺が全部受け止めてやる」 真剣な目。真剣な顔。 心がジーンとする私がいた。 「昔から可奈子は世界で一番大切な女の子だったよ」