大樹に、私の痛みが癒せるの? 忘れさせてくれる? 先生のこと、先輩のこと。 家族のこと。 イヤなこと、全部。 「できないよ…」 私の問いに答える大樹の声。 こんなに優しい大樹の声を初めて聞いた気がした。 そして私の手を掴んで抱き締める腕は、たくましく、チカラ強かった。 初めての大樹の温もりは予想以上に安心できた。 だい…き…? 「オレ、ずっと可奈子が嫌いだった」 きらい…?