「今帰り?」 「うん」 「木村とライブだったんだろ?楽しかった?」 クリクリした目で私の顔を覗き込む。 そんな彼の手にはビニール袋。コンビニにでも行って来たのだろうか。 「楽しかったよ」 「そっか、良かったな」 私たちの話し声はそんなに大きくないはずなのに、響く。 夜の独特の雰囲気。 「じゃあね」 ふたりきりに耐えきれなくなって歩き出す私の背中に「こんな夜にどこ行くんだよ」と声をなげかける。 どこ…?