私と大樹の関係が汚れた気がしたんだ。 「なー、かな」 「その呼び方…小学生の頃みたい」 「だな。…あのさー」 蝉の声が一瞬途切れた。 でもまたすぐに狂ったように鳴きだす。 夏、だなぁ… 「もっと頼っていいんだぞ」 「なに急に…」 「俺、可奈子に頼られたこと、一度もねーからさ」 大樹らしくない言葉だと思った。 彼の顔を見ると目が合って、何となくそらした。