お隣の家は大樹の家なんだけど、実は部屋も真横で。自室の窓から身を乗り出す大樹の姿にやっぱりなと思いつつ窓も開けた。 『よ!帰ってたんだな!』 『知ってて石投げたくせに、よく言うよね』 白々しい演技。 似合わないっつーの。 『明日さ海行くんだけど、可奈子もどう?』 『…行くわけないでしょ』 海?…行きたくないし。 今はお母さんとの思い出だけじゃなくなったんだから。先生との思い出の場所でもあるんだから。 イヤよ、絶対。