「ムカつく…っ。なに泣かせてんだよっ」


その小さな声がなんて言ってるのか、私には分からなかったけど。


グッと引き寄せられたカラダは彼の中にすっぽりハマって。


…突然くちびるに触れた温もりはちゃんと分かった。


たったの一秒が、永遠のように長く感じた。


「佑夜…?」


ゆっくり離れたくちびる。

佑夜が切なそうに、苦しそうに顔を歪めていて。


「泣くぐらいなら、俺にしろよ」

「…っ……」

「好きだよ、小川のこと。俺はずっと加奈子だけ想ってた」


大切そうに呼ばれた私の名前に狂いそうになる。