「荒田せんせーい!」


…不安が胸をよぎったその時。
人混みの中で、甘ったるい声がした。


それは私の大キライな声。


「あ、仁美先生も見回り?」

「大樹くん達…そうだよー」


仁美先生…


そっか、読めた。

先生が見回りのこと言わなかった理由。


「校長がふたりに見回りお願いできますかーって急に言われてね?仕方なくだよー」

「そうなんすか、大変っすね!」

「うん、本当は生徒と会ったら注意しなきゃいけないんだけど…見回りが私達で良かったね!」


先生、
やましいことないなら、正直に言えばいいじゃん。


…ムカつく。