「あ、可奈子!こっちこっち〜」
たくさんの人ごみの中、大樹が大きく手を振る。
佑夜と木村も、もう来ているみたい。
ほら、先生のせいで最後じゃんか。
「ごめん、遅くなった…」
「ううん、全然」
優しく笑う佑夜。
木村が落ち着かない様子でフワフワしてる。
そういえばみんな私服なんだ…。
「みんな着物きてくるかと思ってた」
「大樹が、みんな私服でって言うから…」
大樹が?
「こっちの方が動きやすいだろ。店全部周りてーし!」
そして二カッと笑顔で「全部食べ尽くしてやるぅー!」とか、バカなこと言ってる。
「あいつ、優しいよな…」
「うん、そうだね…」
私のためか…
大樹、ありがとう。



