ワントーン低くなって急に真剣になった大樹の声。それだけで空気が重くなる。


なにさ、いきなり…


「由紀子さんが昨日、救急車で運ばれてたぞ」


え?


…頭の中に白いペンキがまかれたような感覚だった。

歩いていた足が止まりそうになったけど、そうならなかったのは単なる無意識。


由紀子さんが…?


「そう…なんだ…」


でもそしたらどうして昨日
私のケータイは鳴らなかったんだろうね…?


一応これでも家族なんだし。

血は繋がってなくてもさ連絡ぐらいするでしょ。