「そうだよ?…まあ一応不良校。
全然そんな感じはないけどな。
あ、言っとくけど、女子は1人もいないよ」



そう言ったのは奏汰君。



今はもう学校も終わって、
みんな寮に帰って来ている。



私が由梨にこの学校のことを
メールしている途中、その内容を
声に出していたみたい。


奏汰君はそう教えてくれた。



一応か…。


そうだよね、不良みたいな
見た目の人はいるけど、
みんな優しいもんな。



それにしても、女子いないの!?



…今日は見かけなかったけど、
まさかいないとは思わなかったな…。



「そうなんだ。…女子、いないんだ」


私は呟くように言った。



「何お前…。知らなかったのか?」



さっきまで雑誌を読んでいた
奏汰君は、いつの間にか
ベットに座っている私の
真横に来ていた。



「……う、うん…。私、そんなこと
親から聞かされてなかったし…。
ここが不良校だってことも、
知らなかった…」



っていうか…近いんですけど…。



「あ?何も聞いてなかったのか。
それなのに簡単に転校してきたのか」



うーん。だって…。




「両親が勝手に決めちゃったんだもん…」