右手の甲も、真っ赤に腫れてたり、血が
滲んでたりするし……。



向坂くんは私の視線を辿るようにして、
自分の拳を見下ろすと、ああ、となんで
もなさそうに呟いた。



「気にすんな。人間殴ってればこんくら
い、普通だ」



……って…。



殴ってればって……け、喧嘩したの?や
っぱりヤンキーだな……。



なんて改めて、そんなことを実感してい
たら、突然向坂くんが、真剣そうな表情
を浮かべた。



「お前に、聞きたい事がある」


「え……」



その声も、瞳も。


怖いくらいに真剣だったから、向坂くん
の前に立つのが、息苦しい。



逃げ出してしまいたいと思うのに、身体
が言うことを聞いてくれない。



「変なこと、訊くけど……昨日の男は、
本当にお前の兄貴なのか?」


「……っ」