*澪side



昨日、突然帰っちゃったから、向坂くん
怒ってるかな……。



そんな不安を抱えながら登校した、翌日




教室に入ると、いつもはまだ居ない筈の
人物がそこには居た。



「よ、泣き虫兎」



椅子の背もたれに体重をかけながらだら
しなく座って、こっちを見上げるのは、



「向坂くん!?」


「……おう」



まさかこんな早い時間に向坂くんが居る
だなんて……。



取り敢えずは、怒ってない、みたいだけ
ど───……。



「そ、その怪我……っ!?」



向坂くんの顔には、幾つかの切り傷があ
って、口の端は、殴られたような青アザ
になっていた。