「殴らせろよ……」
あんなんじゃ足りねーんだよ。拳が砕け
飛ぶくらいに殴らせろ。
じゃないとこのイライラが消えない。
胸にたまったモヤモヤをどこに吐き出せ
ばいいのか、わからない。
俺はボスらしき人物の所へ向かい、髪の
毛をむしるように掴むと、強引に起き上
がらせた。
「う゛……」
「なぁ、もっと遊ぼーぜ?」
ニヤリと笑ってみせると、ソイツの顔が
怯えたように揺れる。
「ゆ、許してくれ……っ」
「許してくれって───そっちが吹っ掛
けた喧嘩だろ?」
俺は喧嘩を買っただけだ。
「なあ、俺に勝ちてーんだろ?んじゃ、
もっかい勝負しよーぜ?」
そしたら、思う存分暴れられる、正当な
理由になるからさ。


