「門まで濡れちゃうけど……ちょっと我
慢してね」
燐ちゃんはそう言うと、そのまま上着を
脱いで、私の頭と肩を覆うように被せて
。
「走るよ」
そう言いながら、燐ちゃんは私の手首を
掴んで走り出した。
ちょっと我慢してね、なんて言いながら
、燐ちゃんの上着のお陰で全然濡れてな
い。
濡れてないのに……、
「荒っぽくてごめんね。大丈夫?」
助手席に座った私に、微笑みながらそう
訊いてくれる燐ちゃんはやっぱり優しい
。
燐ちゃんなんて、前髪から水が滴るくら
いびしょびしょなのに……。
「燐ちゃん、ごめんね……」
「ん?なにが?」
エンジンをかけながら、優しくそう尋ね
てくる燐ちゃん。


