そんなことはない、と必死で首を横にふ
る。
そりゃかなえちゃんと遊べないのとか、
プレゼントを当日に渡せないのとかは、
ちょっと……かなり残念だけど。
「さ、向坂くんと居られるのは、それで
すごく幸せ……だよ?」
だから怒らないで?と、上目遣いに向坂
くんを覗きこめば、向坂くんはもっと不
機嫌そうになった。
えっ、なんで!?
「……お前、それ計算か?」
「計算?」
今はなんも計算なんてしてないけど……
数学はまだだし、計算は苦手な方だし。
そう考えていると、『無意識かよ……』
と向坂くんが呟いて。
「そんな顔、他の男に見せるなよ」
と言われた。
……そんなに私の顔、見苦しかったのか
な……?
その夜。


