そんな恥ずかしいこと、本人には言えな
いんだけどね。
「澪をクリスマスに誘ってないってどう
いう事よ」
何を言い出すのかと思えば、机をバンッ
、と叩いてそう言ったかなえちゃん。
その目は至って本気で、向坂くんを睨む
ようにギラつかせていた。
「……あのな。"かなえちゃんと今年は
何しよっかな~"なんて見たことないく
らい幸せそうな顔で言われて、誘えるか
?
しかも"クリスマスどうするんだ"って訊
いたら即答だぞ」
はぁ、とため息をつきながらそう言った
向坂くん。
確かに訊かれた。
だけどもう既にかなえちゃんとの事で、
頭がいっぱいだったんだよね……。
「なるほどね……そりゃ悪いことしたわ
。ごめん」
「……別に」
かなえちゃんはそう向坂くんに謝ると、
クルッと振り向いて、私を見た。
「澪」


