そう真っ赤になって否定した辺り、相当
嫌な衣装だったんだろうけど。
……そんなに嫌がる衣装っていうのも、
ちょっと気になるよね。
「ちょっともー、朝からイチャイチャし
ないでよぉ~」
ふと、ニヤニヤしながらそう言ったかな
えちゃんに顔が熱くなる。
イチャイチャ……自分には無縁の単語だ
と思ってただけ、それを向けられた衝撃
は強い。
だけど向坂くんは至って真顔で、
「溝口に言われたくないな。……あと、
お前ん所の王子様な、ずっとあそこで待
ってるぞ」
そう言って、向坂くんの指した方向を二
人で振り向くと。
「かなえ。おいで」
王子様の格好をした芝崎くんが、王子様
みたいな微笑みで、かなえちゃんに向か
って両手を広げていた。
それを見た周りの女の子は、きゃあ、と
色めき立っている。


