ふわ、と優しく笑いながらそう言ってく
れる三木くん。



三木くん、優しいなぁ……。



「あ、そうだ。シフトの交代しに来たん
だ、俺。もう上がっていいよ」


「……あ…」



そっか、もうそんな時間なんだ。



ペコリと頭を下げて、その場から立ち去
ろうとした私だったけど───



「……待って!」



それは、後ろから三木くんに手首を掴ま
れた事によって、阻まれてしまった。



後ろを振り向くと、三木くんはほんのり
と頬を赤らめながら、でも痛いくらいに
真っ直ぐに、私を見つめていた。



「あのさ……。今日、文化祭が終わった
ら……教室に残ってて欲しいんだけど」


「……うん…」



どうして、なんて訊ける雰囲気じゃなく
て、簡潔にそう答えれば、三木くんはホ
ッとしたように頬を緩めた。



「じゃあ、あとで……」