「今は、俺がいますから。誉の頭は、俺のことでいっぱいなんだ」 「今の瑞希ちゃんだからこそよぅ」 脳を取り出して嫌な部分を削がずとも、思い出は上塗りできる。 「気にくわないが、あなたが言ったことは全部、“当たり”ですから」 「またいつでも会いに来なさいねぇ」 「いつか、あなたの顔を見ないためにもな」 扉が閉まる。 「大きくなったわねぇ、あはは」 笑いたくなるその事実は、瑞希の耳にまで入る。 古い建物なんだ、よく響くに決まっている――