ヤンヤンデレデレ



【彼の場合】

その内、誉が『水曜日なのに、燃えるゴミの日なんですね』と言う日が近いと予想する。

彼女の前で格好悪くも吹き出したあの日から、どうにも彼女は俺を爆笑させるのに同じことを繰り返す。

彼女の願いを察したからこそ、同じ話でも笑ってみせるが、万全でないのは自覚している。

先も言った通りに、格好悪い。
微笑み、笑顔、それらはいいが、吹き出すはアウトだ。誉に唾を吐いてしまったものだから、あの日は熱湯飲んで口腔を罰してみた。

別段、誉は気にしていないし、むしろまたあの吹き出しを望むわけだが、俺が我慢ならない。

鏡はいつも、そこにあるわけではない。

不抜けた面などもってのほか。彼女の恋人として、頼りがいある男でいたい。

優しく、凛々しく。誉に相応しい恋人で在りたい。

「だというのに、俺に恋をする奴が多いんだよ。俺は、彼女のためだけに自身を磨いているのに」

「『どうして俺は、モテるんだろー』な自慢すか、センパイ」

仕事終わり、地下の駐車場に行く道中(エレベーター)で居合わせた津久井くんは、どうでも良さげに答える。

「『どうして私はモテないんだろー』とか抜かすブスよかイラァってしますよ。イケメンなセンパイが言うからシャレにもならないし、よりイルァってします」

俺もそんな顔になりてー、と津久井くんは、エレベーター内にある鏡とにらめっこをしていた。