シンクに左腕を寝かせ、包丁を添える。手首ではなく、肘から切るらしい。
「傷つけた、傷つけたい。瑞希さんを傷つけたんだから、こんな腕っ!」
「腕がなくなった後、俺が抱きしめて欲しいって言ったら、どうするの?」
腕の輪切り一秒前、瑞希の言葉で誉はその場にへたれ込む。
「うぅっ、瑞希さんに、わたしぃ」
空気が抜けた風船のようだ。力なく萎れていく。
「傷なんかついていないよ」
痕でさえもと、誉に寄り添う。
「瑞希さん、瑞希さ、ん……!」
「うん、いるよ」
泣きじゃくる誉をあやしながら、袋の中身を取り出す。
「よっぽど、嫌な夢だったんだね」
安定剤(レキソタン)を一粒。
「私、おかしく、なって!もうっ、やだぁ……!」
誉の様子から二粒に変更。量を増やしたところで、どう変わるか知らないが、この状態ならば直ぐにでも寝てほしいために、増やす。


