誉の後ろに立つ、両の手で耳を塞いだまま、花火を待つ。 上がる光の帯。轟く音と共に、大輪が咲き散り行く儚い美しさ。 人々の歓声が硝煙の匂いと混じった風に乗ってやってくるも、誉の耳は元より、瑞希の耳にさえも聞き取れない。 「綺麗です」 笑う彼女の声が、全てをかき消してくれる。 外界など感じたくはない。風景でさえも鬱陶しい。心は彼女のためだけに用意したものであり。