「瑞希さんは、ダメじゃ――」
「せっかくだし、花火でも見ようか」
水掛け論となるのは目に見えているため話題変更。
花火とは本来、見て楽しむものだし。
「恋人同士なら、一緒に花火を見るんだって」
「なら、見なきゃなりませんねっ」
そんな常識を持ち出して、一般的な恋人へと時にはなってみる。
誉の耳を塞ぎながらベランダへ。高層ビルなどという障害物もない五階から見る景色は、随分と開けていた。
見れば、民家から顔を出す人々がちらほらと。皆して花火を楽しむらしい。
「瑞希さんも、耳塞ぎます?」
「俺はいいよ」
首を振りながら言う。向き合う姿勢になれば、花火を見られないから。


