「まずはペンチを買ってきます」
「いやいやいや……」
それはない、と誉の肩に手を置いた。
「想像するだけでも痛い。誉にそんな思いはさせたくないよ」
「誰かに口の中を弄られるよりは、よっぽどマシです。それに早く抜かなきゃ、瑞希さんとキスが出来ませんっ。今もしたいのに!」
したいならと瑞希が口を近づけるが、唇に指バッテンマークを作られる。
「瑞希さんに痛いのが移ります」
「誉からなら大歓迎」
「とてつもなく痛いのでダメです!」
経験者は語る。
意思は固いらしく、瑞希は身を引いた。
「そんなに痛いなら、やっぱり歯医者に行こう。治療終わったあと、俺がいくらでも“上塗り”してあげるから」
「ペンチが妥当です」
「だから余計に痛くなるよ。口も開けないほどに頬が腫れたら、誉がしたいことも出来なくなるし」


