夢見は続く。諦められない恋は、諦めてはならない恋に変貌し、暴走する。
今宵、あずみは告白するつもりだった。
九条と『彼女』の部屋で。いかに自分が『彼女』よりも勝るかを話し、『彼女』がどれほどまでに醜いのかを自覚させる。
これで九条が自分と付き合えば、大団円。もしも断られたのならば。
「……」
バックにひっそりと忍ばせたのは護身用。『怖い彼女』対策に持ってきた包丁があるのを確認し、あずみは九条の後を追う。
雨足が強いおかげで、尾行されていることは気づかれない。
歩道橋にさしかかり、階段を下る九条を上から眺める。
行き交う車がいない深夜。外灯さえも雨で役立たず。それでも、視える。
初めて恋をしたあの人が。


