「九条主任は、そんなこと思っているはずがない……!」
言いながら、強情であると自覚した。
津久井に諭され理解した今、自身がいかに身勝手なことをやっているか理解した。
――して、『分かった』と口に出したくはないのだ。
「ゴキブリだなんて、なら九条主任は私に優しくしないものっ。少しでもチャンスがあるなら、私は諦めないし、九条主任が彼女と別れない保証なんてないじゃない!いつかきっと、別れて、私と――」
女だろうが津久井が拳を作った時、あずみは逃げるように駆け出した。
止めようとしたが、殴りかけの苛つきを自覚し、自重する。
「尻拭い、失敗かぁ」
あそこまで面倒な女とは思わなかったと、津久井は頭を掻いた。


