人の口に戸は立てられぬと言うが、後悔先立たずという言葉もあるんだ。
「言ったなら、これからも聞かせてください。ドン引くぐらいの愛情でも、職場(ここ)でセンパイが笑えんのは、その話している時だけですし、もう二度と誰にも言わないって約束しますから」
「言ったら?」
「屋上から飛び降ります。テキトーな、それらしい遺書書いて、靴も並べて、ジャンプします」
「……」
嘘はないかと探る目が、いつもの顔に戻る。
「どうして君が、そこまでして俺といるのか分からないよ」
「たのしーんっすよ、センパイは」
いい暇つぶしだと笑って立つ津久井は、早速。
「大好きな彼女と、なに話したんすか?」
九条の笑顔を作ってみせた。


