ビクッと津久井が肩を跳ねさせた。
「……、すんません」
話しすぎたかと、非を認めた津久井に鉄槌は下らない。殴りたいだけ殴ってくださいと、頭は下げたままだが、九条は息を吐くだけだった。
「俺が浅はかだった。彼女のことは話さないと決めていたのに――」
頭に拳を打ったのは、自身にも痛みを与えたかったから。ひりつく指でも、まだ足りないと浅はかを呪う。
「自慢したくなったんだ、俺の彼女を。そうして言いたくなった、俺がどれだけ彼女を好きかと」
溢れんばかりの想いに蓋はできず、あの日、やってきた津久井に言ってしまった。
「もう、言わない方がいいね」
「んな寂しいこと言わないでくださいよ。もう俺、知っちゃったんっすから。センパイとその彼女が、どれだけ愛し合っているのかを」


