無視して行くかと九条が思い始め――
「私は、“そんな彼女”よりも九条主任を愛していますよ!」
聞き捨てならないことを聞いた。
「『そんな彼女』って、『俺の彼女』のことを言っているのか」
仇でも見るような目付きに、あずみが口を閉じたのも無理ない。
地雷を踏んでしまったと、蛇に睨まれたなんとやらよろしく動けずにいた。
「見誤ったよ、まさかそんなに調子に乗るだなんて思わなかった。はっきり言うべきだね、俺は――君が嫌いだ」
頭蓋骨にまで届くような言葉であった。
「俺の彼女と比べれば、君なんて足元にも及ばない。容姿も性格も、何よりも、『その愛情』が足りない。
『彼女よりも愛している』?ふざけたことを。見たこともない相手にそんなこと言い出すのも頭がおかしいと言えるけど、『二番目でいい』と抜かす口が言うことか?」


