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彼女と電話している。そう聞いたならば、話は早い。
きっと彼女のことを知られたくない九条は、人気のないところで通話しているはずだと、あずみは予想し、手当たり次第、思い付く限りの場所に足を運べば――緊急時にしか使われない非常階段の踊り場にて九条を見つけた。
「主任っ」
「……」
声をかけられた九条は不機嫌な顔立ちであった。通話中の九条の顔を見ていないあずみは、『束縛激しい彼女の電話に辟易していたんだ』と思い込む。
「昨日のことで、話がありますっ」
大声で言ったのは、通話先相手にも聞こえるように。仕返しと言わんばかりのやり口は、女性の声で彼女が不安、もしくは嫉妬すればいいとした考えあってのことだ。


