正しく、恋する乙女であった。
花色の思考、想像するだけで笑みが零れ、恋い焦がれる異性のことしか頭にない。
反面、自分のことだけしか考えていない夢見る乙女であった。
一度断れても二度。叶ってしまったのだから、あずみが調子に乗ってしまったのは否めない。
恋をしたならば必ず成就させたいのは当たり前であり、そのためならば――“何だって出来る気がするんだ”。
「あ、……き、きたっ」
携帯電話を取り零しそうになる。ディスプレイには知らない番号なのだから、なおのこと。
このタイミングにかかってくるだなんて、九条しかいないだろう。
呼吸をし、咳払い。おかしな声ではないかと一度確かめ、通話ボタンを押す。
早鳴る心臓を抑えるように胸に手をあて、淑やかに『もしもし』と――


