よっての話――というよりも、早く帰って、彼女を抱き締めたい。という気持ちが強い九条は、あずみから紙を受け取った。
「あ、ありがとうございますっ」
あずみの顔が明るくなるのは当たり前。それで満足したのか、駐車場から駆け足で消えてくれた。
「……」
紙には案の定、電話番号。『連絡待ってます』という一文つき。破り捨てようとし、スマフォが鳴ったので取りやめとなる。
仕事用の電話ではなく、プライベート用。
『瑞希さん、大変です!焼きそば作ったら、ソースがなくなりました!』
「買って帰るよ」
そんな会話だけで九条の頭から、つい先ほどの出来事が消えてしまった。


