【君こそ常識】
いつものように一人掛けソファーで、いちゃいちゃとしている時のことであった。
「べとー」
などと、瑞希の太ももに跨がる誉がしだれかかってきた。
溶けた飴のように瑞希にべっとりまとわりつく。
「どうしたの?」
「梅雨の真似です。べとー、じとー」
「誉にしかできない物真似だね」
べとべとする誉に不快感は覚えないが、昨日から続く豪雨には考えものだった。
「洗濯物、乾かないな」
外に出たのならば、例えそれが一時間程度でも必ず洗濯行きになるのでは、この時期、部屋干しの密林帯が出来上がる。
「やっぱり、乾燥機つきの物に変えるか」
「去年も同じこと言って、気づいたら真夏でしたね」
「誉と一緒にいたら、部屋干しの不快感も飛ぶからね」
ならば今年もまた然りとなろう。


