「だって、先生が死んだら、瑞希さんが泣くんですよっ!」
そう声をあげて言われたことには、『やっぱりか』と苦笑するしかなかった。
「私のためでは泣いてくれないのよねー」
小さい頃から見てきたからこそ分かる。
瑞希と誉。
二人の感情が動くのは、決まって相手が絡まなければならない。
相手が泣けばこちらも。痛ければ私も。悲しければ俺も。そんな関係性に、自身が割り込めるはずもなかった。
「誉ちゃんは、私のこと、好き?」
「好きですっ」
「瑞希ちゃんと比べたら」
「どうでもいいですっ」
嫌いよりも酷い返され方をされてしまうほど、誉は瑞希が絶対的であった。
「誉ちゃんの『すき』を一番に貰ったあの日が懐かしいわぁ」
「でも、先生は、“みんなにも同じようにする”から」
「……、私が『好き嫌い』を言えた義理ではないわね」


