ハリがなくなった肌、シワが増えた目尻に、深くなったほうれい線。白髪もちらちら目立ち、体重も減少したようで。
「老けましたね、先生」
「あら、私が瑞希ちゃんに殺害予告したくなってきたわぁ」
「なのに、腰は曲がらない」
座った状態でも分かる、物差しでもさしたような背筋。様々な老いた結果があっても、たったそれだけのことで、まだまだ若いと――
「倒れるだなんて、思わなかった」
“大丈夫だ”と、思っていたんだ。
人はいずれ死ぬ。分かりきった事実であり、誉以外が死のうが生きようがどうでも良かった。――はずなのに。
「誉を泣かす、あなたが憎い」
忌々しげに言う瑞希に、先生は大口開けて、いつものように笑う。
“大丈夫だ”と、現すように。


