傷ついた右手を見て、彼女は泣くだろう。たったそれだけのことでも、我がことのように涙を流す。
「そんな俺たちの関係性に割り込む奴を憎むのは、至極当然だ。殺したくなる」
開き直りにも近い言葉に、美菜の拳が上がるも――ふと、気づく。
「それでも殺さないのは、誉が泣くから。誉にとっての大切な奴には違いないし、捨てられた誉を助けて――俺に、会わせてくれたんだ」
美菜の肩から力が抜ける。呆然と、瑞希の顔を見上げたのは――“意外だったから”。
「殺したくはなるけど、『死ねば良かった』だなんて思っていない。まだ、“貸しを返せていないんだ”」
立ち上がる瑞希を止めることはしない。
ただ、最後に。


