「だから、何を……」
「例えばの話、俺が死ねば先生は泣くだろう。けれども、それだけ。――日が経てば、他の子の前で笑顔になる」
座り込む美菜を見る瑞希は、必然的に顔を下げる。
「この例えは、先生の子供“全員”に当てはまる」
「自分を思って一生泣かれたいってーの」
「そんな愛情しか持てない奴に、誉は『すき』と言ったんだ」
青あざをつけた右手をさする。衝動的とは言え、馬鹿な真似をしたと後悔した。
「俺には、誉だけなんだ。誉が死ねば一生泣くないし、死んでもみせる。誉がいないここで、笑顔になれるわけがない。そうして彼女だって俺と同じ気持ちでいてくれているのを――知っている」


