誉の“一番目”。
恐らくは、初めて誉に“すき、と言われた人物”。
この事実がどうしようもなく嫌だった。
誉には俺だけでいい。俺には誉だけなのに。
「ちっ」
舌打ちをし、顔に当てていた右手でベンチを叩く。――何度も。
“誉に離される手なんか”
「かっこわりいよ、瑞希さん」
青あざが出来た右手が宙で止まる。顔を上げれば、美菜がそこにいた。
「……」
「あたしで残念ですか、そーですか。でも、ほまっちゃんは来ませんよ。今頃、先生の胸に抱かれてますから」
意地の悪い返し方。安っぽい挑発でも、瑞希の腰を上げるには十分だった。
赤子が泣くような怒り顔。けれどもそれは――


