ヤンヤンデレデレ



ふんっ、と腕組みをする美菜。声を荒げても声量を落とすあたり、場を弁えているようだ。


K市にある公立病院。入院患者や看護婦が行き交う廊下を美菜たちは歩いていた。


「美菜ちゃん、先生は……」


朝から俯きがちであった誉の声で、瑞希の内心がささくれたつ。知らずと、誉の手を握りしめた。



「お医者さんは、もう大丈夫だって」


『死んでも構わないだろう?』そう口に出かけたが、美菜の答えで呑み込む。


「そっか、良かったぁ」


安堵しきった誉の表情は、いつでも見ていたいもののはずが、目を背けてしまう。


分かっている、嫉妬だと。『どうして、俺以外の奴にそんな顔を向けられるの?』だなんて、言葉にまとめたら自身の小ささを実感してしまった。