大変だ大変だ、と山火事見た兎のようにあせあせ誉が手錠を外す。
よほど無理に動かしたのだろう。赤みが紫となる手首は――片側が外れるなりに、誉の体に回される。
「生き地獄だ」
絞め殺すつもりはないが、我慢の限界だった腕は力の加減知らず。そのことが分からない誉でないため、その絞めつけを受け止めた。
「わ、私……ひどいことを……」
罪悪感が湧く。
酔いから覚めてしまえば、あるのは後悔。ごめんなさいと口にする前に、塞がれた。
「一番先にしなくちゃいけないのは、これだよ」
離された口。再度、塞がれる。
毎日のようにする口づけに飽きはない。手軽たる愛情表現でも、軽い気持ちでないのは陶酔する心が実感させてくれる。


