あらかたの唾液を味わったあと、誉は舌を抜く。
瑞希の寝息は健在であり、口とてまだ開いていた。
(涎が)
口から溢れた唾液を舐めたくなるも、そう滅多にお目にかかることができない瑞希のだらしなさがあっては、待ったをしてしまう。
(私といるから、こんな安心して寝ていられるのかなぁ)
『寝る』という行為は、無防備を晒すこと。一人ならともかく、誰かに半日も無防備を晒さなければならない行為は到底、見知った仲でしか出来ない。
熟睡に呑まれた瑞希を見る分には、それだけ誉の傍は居心地がいいのだろう。
(ずっと、見ていたいなぁ)
凛々しい起きている彼もいいが、時にはこんな可愛らしい顔もいい。私だけが知る彼だと、笑顔になってしまう。


