「センパイは、俺といんのウザくないっすか?」
「そうでもないよ。津久井くんのおかげで、言い寄られる回数減ったし」
「利用されてます?」
「客寄せパンダは俺だよ」
「あ、俺が利用してますね、さーせん」
女に困ることはない津久井が、九条を見て、ふと気づく。
「あれ、センパイ。スーツ……」
午前中ちらりと見た時と色合いが違うと気づく。
「ああ、汚れたから捨てた」
襟元を掴みながら、さらりと言う九条には生返事を返すしかない。
「はあ。なんかセンパイ、前も汚して替えませんでしたっけ」
「トイレにあった水入りバケツにつまずいてね」
「きたねー」
「だから着替えたんだ」
替えのスーツを持参しているわけではなく、百貨店内で買ってきたであろう新品は九条によく似合っていた。


