作り物の笑顔。テレビの俳優のように、みんなが騙される顔で九条は周りと接していた。
彼女を――愛する人を語る九条こそが“生きている”と思わせる。
造花と生花。どちらも綺麗だが、生花の方が見ていて“安堵”するんだ。
「俺には彼女いるーって、言えばいいんじゃないんすか?」
「学生時代にそれをしたら、彼女に会いに行った奴がいた」
「女こえー」
そりゃあ言いたくもないわ、と津久井は苦笑いを浮かべる。
羨ましそうにこちらを見る女性社員がいては、羨ましいだろーと優越感に浸ってしまう。
男だろうが女だろうが、こうして九条と食事を共にするのは自分ぐらいだ。その特別さ――『噂の九条』と仲良くしていられるのは少なからず誇らしくもある。


