「で?だからあんたは、ずっとここにいんのか」
もうこいつ相手に敬語もいらないかと、立松は腕を組む。
「仕事、終わったから」
「何も帰る時だけに来ればいいんじゃないのか。三時間以上いんだろ、あんた」
閉店までは残り二時間にせよ、閉め作業で更に一時間かかるのはよくある話。
ドリンクバーだけで五時間過ごすのでさえ辛いだろうに、瑞希は机に時間を潰せる道具を置いてなかった。
「三時間……ああ、本当だね。誉を見ていたから気づかなかった」
「……」
あんぐり開く口を慌てて閉じた。
「あんた……」
「頑張りやさんだよね、誉。しかもかあれが俺のためとなるのだから、見ていて飽きないよ」
「その内、目に入れても痛くないとか言い出すのかよ」
「失明しても誉を感じられるなら、それでいい」


