コーヒーを飲む男。三時間前にもいた客だと、立松は思う。
二十代ほどのやけに見た目がいい男。注文はドリンクバーだけで、机にはホット用のカップが一つあるのみ。
変な客だなと思っても、まさか追い出せるわけもなく、立松はお盆に皿を乗せて行く。
「持って行きます」
「おう」
下膳を効率良くするため、誉が皿の乗ったお盆を持って行こうとする。
「あの客、ずっといんな。またお前のストーカーじゃね?」
ぼそりと誉のみに聞こえる声で言えば――
「彼をストーカーなんかと一緒にしないで下さいっ!」
皿を勢い良くぶちまけられた。
「彼は違いますっ、私の大好きな彼です!ストーカーなんて気色悪いものなんかじゃない!」
割れる皿よりも誉の叫び声が大きい。あまりの突飛に唖然とした立松であったが、客の「なんだ」の声で我に返る。


