【一時の我慢で、一生分の喜びを】
チェーン店のファミレスの店員というのは、実のところ、ほとんどがアルバイトである。
誉のバイト先もまた然り。社員は店長ただ一人で、店長が休みの日はアルバイトのみで仕事の切り盛りをするわけだが。
「くっそ、店長……!樽川を『1』として見てんじゃねえよ!」
厨房にて愚痴を溢す立松に、近藤は苦笑いを浮かべた。
「しっかたないじゃーん。普段ならホールに誰かしらいて樽川さんサポートするけど……」
ちらりと厨房からホールを覗き見れば、机を拭く誉が目に入る。お盆上に重ねられた大量の皿は持ってくる最中に落とすなと予想できた。
「樽川さーん。半分に分けて持ってった方が――むぐっ」
アドバイスを投げ掛けようとすれば、「声が大きいっ」と立松に口を塞がれた。


