「そんな優しい顔を、みんなにも出せばいいのに」
呆れた息を溢す先生に答えることはなかった。
「もうバカな真似はしないでね」
「……」
「宙吊りにして、誉ちゃんを一日中抱けないようにしてあげましょうかぁ」
「しない」
「そう」
瑞希の性格上、『言ったことは守る』。謝罪の言葉に心がこもってなくとも、口に出した誓いを反故にする性格ではなかった。
「誉、ごめんね。せっかく二人っきりなれたのに」
「まさか本当に家なき子気取りで出ていくつもりだったの?」
「誉に不自由はさせない」
「自分ないがしろにしてまで誉ちゃんを優先するのは分かったけど、悪いことしたからにはお仕置きされるのよ。現実的な話、捕まったら少年院。誉ちゃんと二度と会えなくなるわねぇ」


