「み、瑞希くん、あぶないから」
おずおずとするのは、院の先生が一人。いくら小学四年生でもバッドを持っていれば近づけないし。
「邪魔するなら、殺しますよ」
そう言って、窓ガラスを叩き割るのだから瑞希の行く手に誰も立ちふさがらなかった。
泣く他の子を避難させるまでの事態。買い物に出た院長が駆けつけたのは、瑞希があすなろ院の敷地から出ようとした時であった。
「……。やってくれたわねぇ、瑞希ちゃん」
「俺たちを二人っきりにしてくれないからですよ」
至極当然だと澄ました顔で、瑞希は言う。
「ここは、人がいっぱいいる。あんまりうるさいと、誉が落ち着かないんですよ。ちょっとした物音で、誉は泣いちゃうから」


