ヤンヤンデレデレ



手入れされていない花壇前にしゃがむ女の子。蟻の行列でも見ているのか、ぴくりとも動かなかった。


「……」


あすなろ院に来て、それほど日は経っていないが、あのショートヘアーは覚えている。


小さい女の子となれば大概、髪を伸ばすというのに、あの子は――一週間前、先生がみんなに紹介したあの子は、来たときから髪が短かった。


襟足にも届かない短さ。眉毛が隠れもしない短髪。


誉という名前を聞いて、それこそ男の子だと思えど、先生の手をぎゅっと握り、怯えた姿の誉を見れば、女の子かと一目で分かる。


先生から貰ったか、短髪なのに赤いリボンのピン止めをする誉は、瑞希に振り返ることはしなかった。


ベンチの軋みで気付かないはずはないのだが、いったい蟻の行列の何がそんなに面白いのかと気になる。